めまい・不安感 宝塚市 30代 男性

【主訴】

初診の1週間前より強いめまいを感じるようになる。

座っていても前のめりになる感覚があり、仕事に手がつかず数日間休職。1か月前から軽度のめまい感やのぼせを感じていた。病院へ行き処方された薬を飲用しているが改善しない。

【愁訴】

食欲がない、血圧が高め、他は省略

【1回目:12月4日】

左腎虚証として治療方針を立てる。

左復溜と左足三里のツボへ鍼を行う。

(※鍼はごく浅いため、刺さる感覚はまったくありません)
背部に接触程度の鍼、失眠と足心の各ツボにお灸(各3~7壮)を施す。

【2回目:12月6日】

めまいは続くものの、くびや肩の凝りが楽になり身体全体が楽になる。

左肝虚証として、左曲泉、左陰谷、左条口の各ツボへ鍼をする。

背部や下腿(ふくらはぎ部分)に接触程度の鍼、失眠というツボへお灸(左右とも2壮)。

【3回目:12月7日】

めまいの感覚が軽くなる、しかしまたいつ強いめまいが発症するか不安感がある。処方薬が手放せない。

左曲泉、左陰谷、左解谿の各ツボに鍼を行なう。

他は2回目とほぼ同様に施術。

【4回目:12月14日】

めまいが大幅に改善する。前の週から仕事に復帰することが出来る。仕事中も少しめまい感が出ることはあるが1週間を乗り切り、安心した様子。

左太衝、左太谿、左解谿の各ツボに鍼を施術。

缺盆というツボへ接触鍼、他はほぼ同様に治療する。

【5回目:12月20日】

疲れてくると少しフラつく感じはあるが、めまいが気にならない時間が多くなる。めまいに関する薬を飲まなくても強い症状・再発はない。

左曲泉、左陰谷、左解谿の各ツボに鍼をする。

【6回目:12月25日】

ほとんどめまいを感じなくなり、同時に不安感も解消する。血圧は以前より下がっており、身体の調子が良くなるとともに食欲が出てくる。

前回とほぼ同様に治療を行い治療を終える。

【治療家からひとこと】

仕事の疲れ・ストレスが原因と考えられる、急性(突発性)のめまいは鍼灸が功を奏しやすい疾患です。

今回の症例は、東洋医学でいう肝陰の消耗→不足になったと考察しました。

※忙しい状況が続いたり、ストレス過多になると『肝』に負担がかかり、働きが弱くなります。

肝陰と腎精が不足すると、それらと関わりが深い足腰(下焦)の力が弱くなり、足腰の気血のめぐりが良い状態が保てなくなります。

そうなると足は冷え、頭はカッカとのぼせる状態が起きやすくなります。これを逆気(ぎゃくき)といいます。

気が上にのぼせ上がると、イライラしたり、落ちつかなかったり、めまい、難聴、不眠の原因にもなります。

 本症例では、東洋医学の『肝』『腎』の働きを促し、不足を補うためのツボを選び鍼灸を施術。結果、数回の治療で症状を改善へ導くことが出来ました。