ストレスと鍼灸治療
ここ最近ご来院いただく患者様を診させていただいておりますと、ストレスが原因と推測できる症状を訴えられる方がとても多いです。
東洋医学でも、このストレスによるからだの不調についての文献が残されています。古代からこのストレスは人のからだに影響を及ぼすものと考えられていたのですね。
東洋医学や漢方の言葉で『気滞(きたい)』というものがあります。読んで字のごとく、気が停滞することを表します。気は絶えずからだ中を巡っている状態がベストなのです。気の巡りがよいと筋肉も柔軟で、血行も促進され健康状態も保たれることになります。
しかし、からだに過度なストレスが加わると気の巡りが停滞する傾向にあります。忙しかったり、難しい課題に取り組んでいる時に肩や背中が凝ったという経験は誰もがあるのではないでしょうか。
この状態が続くと気滞(きたい)の状態になりやすくなります。気滞は肩こりや腰痛の原因になりやすいといえますが、これだけではありません。
臓腑(東洋医学の臓器)にも影響があります。例えば胃や腸に気滞が起これば、腹痛や便秘や食欲不振、お腹が張るという症状を発します。また肺に起これば、咳喘息(せきぜんそく)や過呼吸などをひき起こす原因となります。これらは病院などで検査を受けても、異常がないというため治療の手立てがつかめないことが多いのです。
東洋医学では、気(き)の働きや概念を論理的に考えて治療を患者様に施していくため、原因が分からない、治療の手立てが見つからない症状にも対応していけるのです。