下痢症状について
<概要>
■急性の下痢
急性の場合は腹痛とともに水様便が起こります。食べ過ぎや飲みすぎ、冷え、消化されにくいものを食べた際に起こりやすいです。急性の下痢の中でも回数が多かったり腹痛がひどい場合、また発熱のある場合、便に血が混じる場合などでは、細菌やウイルスが原因の下痢である可能性が高いために、早急な対処が必要です。
■慢性の下痢
慢性の下痢は、体質的に腸が敏感な方が症状を訴えられます。最近特に増えてきているのが過敏性腸症候群による慢性の下痢です。また腸の疾患が関与していることもあります。潰瘍性大腸炎、大腸ガンなど。その他に胃・肝臓・膵臓の疾患が影をひそめて慢性の下痢症状が起こるケースもあります。
<治療について>
下痢症状には、鍼灸での対処法が多くあります。慢性的なものはもちろん、食中毒などの急性の下痢症状にも効果的です。まず東洋医学的に、下痢には「脾」「腎」の臓腑(東洋医学の臓器)が関係することが多いです。消化の機能がうまく働かない方は「脾」を、からだが冷えやすい(特に下腹部など下半身の冷え)方には「腎」をよく診察します。下痢をしやすい体質の方にはまず、臓腑を整える治療を進めていきます。
また自律神経は腸の働きに大きく関与します。そのため過緊張の状態が続くと胃腸にも負担がかかりやすくなります。この状態が続くと、緊張からリラックス状態へ切り替えの際、またその逆の際に腸が過敏に反応して下痢症状が起こりやすくなります。肩から背中には、胃や腸の変調をあらわす反応が診られます。この反応に応じて鍼灸を施して胃腸の状態を落ち着かせます。
食中毒などの急性の下痢には、足裏にある「裏内庭」というツボにお灸を施します。解毒作用の強いツボであるため、食物アレルギーによる蕁麻疹や湿疹にも効果が得られます。