起立性調節障害
<概要>
成長過程の一時的な体質の変調が原因として考えれる疾患です。本人の意思とは関係なく、自律神経のバランスの乱れにより生活のリズムが整わず、朝起きられない、めまい、吐気、腹痛、頭痛といった症状がでてきます。
人は起立すると、重力によって血液が下半身に貯まる結果、血圧が低下します。健康な方では、これを防ぐために自律神経系の一つである交感神経が興奮し、下半身の血管を収縮させ血圧を維持します。
ところが、起立性調節障害ではこの機構がうまく働かず血圧は低下し、脳の血流や全身への血行が維持されなくなります。
脳の血流が悪いために、思考力は低がり、集中力もなくなってきます。心臓は血液の不足部位へ送ろうするために頻脈を起こし、起立状態や少しの運動で息切れ、動悸を起こすこともあります。身体を横にすると、つらい症状が軽減し身体が楽になるのは全身への血流が回復するためです。
心因性のものではないことが、最近明らかになってきました。しかしまわりからのプレッシャーや症状が重い子どもは強い不安感を持ったり、2次的なストレスにつながりやすくなります。
<治療について>
当院では、東洋医学を基に考えて気・血の不足を補うように治療を進めていきます。
内臓がしっかりと働いていると、飲食や日中の活動、睡眠などにより、身体を養う気と血が補充されます。そして気・血が全身にしっかり巡ることで、身体を動かしたり、頭で考えたり・判断したりすることが出来るのです。
成長過程の一時的な、身体のバランスのくずれは内臓(東洋医学の臓腑)機能の失調と考えて診察をしていきます。
一つ例を上げますと、脾(ひ)という臓腑は、食物の消化や身体に必要な栄養の吸収と関わります。現代医学でいうと胃や腸の働きと深く関わるところです。そのため脾が弱ると、からだの栄養素である気・血の補充が上手くいかないということになります。
不足しているものを、全身にめぐらせることは出来ないので、日常動作や思考に大きく影響を与えてしまいます。そして、それに伴い身体の正常な生理機能にも支障が出るため、食欲不振、体温調節、血圧の維持にも変調があります。
内臓(臓腑)の働きからの改善を目的として、根本的に、身体に負担をかけず自然なかたちでの治癒をめざします。また体質の改善をしっかりとしていく必要のある本疾患は、当院の症例をふまえてみると少し長期的な治療が予測されます。
起立性調節障害の治療・体験談はこちら ⇒ 『西宮市 起立性調節障害 15才 男児』