前立腺肥大と治療について

<概要>

前立腺肥大とは、男性の尿道をとりまく前立腺が肥大して、尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。尿の出がわるく勢いがなくなったり、排尿が長引いたり、残尿感が出たり、夜何度もトイレに起きるようになります。排尿に関する諸症状のために、生活に支障をきたすことが出てきます。

発症要因は、まだ不明な点が多いのですが、加齢と男性ホルモンという2つの要因が発生頻度が高めることが広く認められています。

前立腺ガンとは別の疾患であるため、前立腺肥大症がガンに進行する心配はありません。しかし検査を受けて前立腺ガンの心配がないかどうかを確認しておくと安心です。

前立腺の肥大は60代の男性の2人に1人に認められますが、すべての方に自覚症状があるわけでありません。

前立腺肥大は、悪性の病気ではないのですが、尿が出ずらい状態が長期にわたると、残尿が増えて、膀胱の機能低下、腎臓に影響をおよぼすこともあるので注意を要します。

<治療について>

はじめに症状について、治療された経過、排尿障害の程度などを問診してから、からだの状態を診察いたします。

当院では、漢方・東洋医学の専門立場から、診察そして治療をいたしますが、西洋医学の知識と合わせて患者さまに説明いたします。

前立腺は男性ホルモンの影響を受ける臓器です。ある程度、年をかさねると男性ホルモンの分泌量が低下するため、それまで維持されていたホルモンのバランスが崩れてきます。これが前立腺内部の組織が肥大する主な原因と考えられています。

人体において、年齢とともに使われなくなる臓器や組織は、どうしても代謝や循環が悪くなる傾向にあります。

前立腺においても同じことが言えますので、鍼灸施術により組織の循環を改善することが治療方針となります。

腹部や腰部まわりには泌尿器・生殖器に関わるツボが多くあります。

これらのツボへ鍼灸施術を行うことにより循環障害が改善され、残尿感や尿閉といった不快症状を改善してくれます。
また患部への対処法的な施術だけでなく、東洋医学が最も得意とする体質改善を目的とするツボへ鍼(本治法)を行います。

この本治法とは、さまざまな内臓の働きを促がす作用のあるツボを中心に施術をするもので、継続的に行うと患者さま自身のお身体の免疫力や病に打ち勝つ治癒力を高めることができる治療となります。

当院の前立腺肥大の治療目的は、できるかぎり患者さまのお身体に回復の機会を提供することです。